「これ、マルチに勧誘されてるんだよね」と、先日久しぶりに地元の友人からかかってきた電話なのですが、その内容がマルチ勧誘についての相談でした。
田舎から関東に上京してきて、しっかりとマルチネットワークビジネス(モデーア、ワンダーランド)も経験した私は、その友人に自分の経験に基づいたアドバイスをしました。
その友人は「へぇー」を連発しながら聞いてましたし、まだまだ知らない人もいるのかと思い、せっかくなので思い出として、誰かの参考になればと自分の考えと体験を書いておこうと思います。
1、ネットワークビジネスの儲けの仕組み
まず、簡単にネットワークビジネスの仕組みについて説明したいと思います。
(ただ、私の経験を基にざっくりとした説明なので、細かいところは各社の資料でお確かめください)
ネットワークビジネスとは、マルチ商法、MLM(マルチレベルマーケティングとも呼ばれます。
正式名称は「連鎖販売取引」と言います。
ネットワークビジネスを始めるには、ネットワークビジネス会社と会員(個人事業主、代理店)として契約することになります。
(契約を結ぶための契約料は発生しますが、それ自体は数千円でした。それ自体は……)
契約することによって、会員はその会社が扱っている商品を販売する権利と、新しい会員を勧誘する権利を得ることになります。
仕事内容は一言で言うと、宣伝販売。
大きくわければ二つで、上の権利を行使することになります。
つまり、一つは、商品の販売。
もう一つは、新規会員の勧誘及び育成。
得られる報酬は、当然ですが他の販売ビジネスと同じく、その会社の商品の売上利益の内から支払われることになります。
自分が直接お客さんに商品を販売した利益と、
自分が勧誘した会員達がお客さんに販売した利益。
この二つを合計した総売り上げを確認して、ネットワークビジネスの会社がその会社の報酬プランにのっとって報酬を支払うという形になります。
ネットワークビジネスの収入プランはユニレベル、ブレイクアウェイ、ステップアップなどと細かい分類はありますが、会員が新規会員を勧誘して、その新規会員がさらに別の会員を勧誘して、またさらにその新規会員が別の会員を勧誘して……という連鎖によって、階層組織を形成・拡大していくという仕組みが基本になります。
ネットワークビジネスの利益を出す仕組みも、他の販売ビジネスと前提は同じで自社製品の売上が絶対条件になります。
世間で良く知られている他の販売ビジネスとの仕組みの大きな違いは、自分が勧誘した会員がお客さんに販売した利益からも自分の報酬が発生するというところだと思います。
(自分の下の何階層の会員までの売上が自分の収入になるか、あるいは、何パーセントが自分の収入になるかは各社の報酬プランによって変わってきます)
セミナーで言われたことでは、
他の店舗販売ビジネスは、店舗への配送費用や在庫管理費用、メディア宣伝費用が大きくかかる。
けれど、ネットワークビジネスは無店舗販売ビジネスかつ口コミビジネスだから、それらの対企業に支払われていた費用が対個人に支払われることになるから、そこに個人でも大きく稼げるビジネスチャンスがあるんだということです。
2、ネットワークビジネスの法律上の扱いは違法か合法か
「連鎖販売取引」として定義されている「ネットワークビジネス」は、法律上まったく違法ではありません。
マルチ商法自体は、合法なのです。
ただし、「特定商取引法の連鎖販売取引」で定められた規律範囲から逸脱した販売の仕方をすれば、それはもう違法ということになるのです。
ネットワークビジネスだけでなく訪問販売などもそうですが、無店舗ビジネスは公衆の目が届きにくく、悪質な取引によるトラブルを招きやすいので、厳しい規律が設定されています。
- 商品の価格が、商品価値や市場価格と比べて、異常に高額な場合は違法となる
- 契約の締結時には、必ず書面での取引が義務付けられる(証拠を残すため)
- 広告への一定事項(商品の金額や、販売者の氏名、役務に対しての支払額など)の表示が義務付けられる
- 誇大広告( ”参加すれば誰でも稼げる” など)の禁止
- 不適切な勧誘行為(事実の隠蔽や、不実の告知など)の禁止
- クーリングオフ(20日間)の義務化
- 途中で解約することができる権利の付与によって、一定の条件をクリアすることで、一定額(購入価格の90%相当)の返金を可能とする
- 執拗な勧誘の禁止
- 勧誘するときに言った事と、実際の内容が異なっている
- 「Aさんは10日間で30万稼ぐことができた」など、第三者の体験談を交えての勧誘の禁止
上記のような規則をきちんと守っていれば、マルチ商法はまっとうな販売ビジネスなのです。
3、ねずみ講とマルチ商法の違い
ねずみ講というのは、正式には「無限連鎖講」と言います。法律上、違法です。
ねずみ講とマルチ商法の共通点としては、組織拡大がねずみ算のような階層構造で膨れていくという点になります。
ねずみ講とマルチ商法との相違点、法律で禁止されている理由は、ねずみ講は商品の販売が目的ではなく、金品の受け渡しが目的となっているという点になります。
例:組織の会員になるには、紹介者への金品の支払いが必要であり、自分が会員になると次は、一人会員を増やすごとに、紹介料として一部の金品を得ることができる。
また、一次会員が二次会員を増やすごとに一部の金品を得ることができる。親会員から子会員へ、子から孫へと増殖していく。
ねずみ講は、紹介料などのやり取りだけで商品やサービスがないので、増殖をやめた瞬間にお金の動きがなくなることになり、無限に連鎖増殖しないとビジネスにならないのが特徴なんですね。
対して(法律を守っている)ネットワークビジネスの仕組みの場合は、増殖をやめても商品やサービスによるお金の動きがありビジネスとして成り立つのがねずみ講との違いです。
ネットワークビジネスの仕組みは悪質手口に騙されやすい
ネットワークビジネスの仕組みは以下のような特徴があります。
無店舗ビジネスだから公衆の目が届きにくい
友好関係を介したビジネスだから疑いにくく断りにくい
環境を販売者たちに囲まれるので中立な情報を得にくくなる
なので、お金を儲けられれば倫理など無視するという悪意ある人たちの悪質な手口に騙される危険はどうしても高まることになります。
十分に気を付ける必要があります。
川崎市消費者行政センターが作った、以下の動画のようなことも起こりえますので。
次回からは、ネットワークビジネス(モデーア、ワンダーランド)についての考えを体験談を交えて書いていきたいと思います。