ひきこもりニートと一言で言っても、ひきこもりニートの中にも色々な人がいます。
ひきこもりニートだった自分や周りの友人を見てみると、性格も違えば原因も違いました。
そこで、国や専門家は、ひきこもりニートをどんな性格傾向・原因を持っていると考えているのか、どう分類しているのか、気になったので調べてみました。
この記事を読むと、ひきこもり当事者は、自分はどのタイプに分類されるのかなんとなくでも感じると思います。
家族などのひきこもり関係者は、ひきこもりに接するときになんとなく接するのではなく、きちんと考えて接するべきだということを感じられると思います。
ただし、具体的で詳細な事例は載っていないので、より詳しくは自分で調べてみてください。
目次
ひきこもりニートの性格傾向と原因の分類をしている参考資料と前提について
参考資料
この記事の内容は参考資料として、厚生労働省が定める「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」を元にしています。
(というか、あえてほぼ原文のままにしてあり、難しい言葉の言い換えや言葉の補足という形で書いています)
これは専門家の人が、ひきこもりという現象の評価と支援に関する標準的な指針を提供することを目的に作成した資料です。
ひきこもりの定義と前提
この記事では、ひきこもり≒ニートとします。
ひきこもりの定義は、「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」のことです。
ひきこもりは一つの疾患や障害にのみ現われる症状と捉えるべきではなく、様々な疾患の症状として、また様々な葛藤の結果としてあらわれるものとされています。
また、ひきこもりを克服したい、支援を求めているという人を対象に書いてます。
(ひきこもりであることを本人も周りも納得している人を対象にしていません)
「ひきこもり」という言葉の正確な意味や捉え方を知りたい方は、下記の記事を読んでください。
ひきこもりの評価と分類
ガイドラインでは、ひきこもりの評価とは、「ひきこもっている当事者とその周囲の状況の全体像と、支援の指針を明らかにするための情報」とされています。
ひきこもりの原因とタイプを分類するから、効果的な支援ができるというのは、当たり前だと思います。
ひきこもりをいくつかの軸に分けてとらえ、 最終的に全ての軸を組み立てて支援を決めるようです。
大きくわけると、精神評価・ひきこもり段階評価・環境評価を基に、支援方針によるひきこもりの分類をしています。
第1軸:背景精神障害の診断
発達障害とパ一ソナクティ障害を除く精神障害の診断。
第2軸:発達障害の診断
発達障害があれぱそれの診断。
第3軸:バ一ソナリティ傾向の評価 (子どもでは不登校のタイプ分類)
パーソナリティ障害を含むパーソナリティ傾向の評価。
(ここが性格傾向の分類に当たります)
子どもの不登校では過剰適応型、受動型、衝動型といった不登校の発現経過の特性による分類が有益。
第4軸 :ひきこもりの段階の評価
ひきこもりがどの段階にあるかを評価。
第5軸:環境の評価
ひきこもりが生じることになった環境要因と、そこからの立ち直りを支緩できる地域資源なとの評価。
第6軸:診断と支援方針に基づいたひきこもり分類
第1軸から第5軸までの評価結果やそれに基づく支援計画の見通しなどを総合して、三郡にわたるひきこもり分類のどれにあたるかを評価。
ひきこもりの性格傾向(ひきこもりの背景に存在する主な精神障害)
ひきこもりになる人は、以下の性格・精神障害を持っていることが多いそうです。
具体的な事例もほぼなく、専門用語も多くて、わかりにくくはありますが……
(厚生労働省:メンタルヘルスに多少の用語説明はあります)
読んでみるとひきこもり経験者は「あー、思い当たる」となるのではないしょうか。
私はなりました。しかも、ひきこもり期間を経ることで、精神障害が増えたんだなーと今振り返ると思います。
適応障害
いじめなどのつらい出来事をきっかけに、不安や憂うつな気分が出現し、不登校・ひきこもりに至ることがあります。
適応障害をもたらすストレス状況が長引いたり、あるいは原因は解消しても適応障害が長引くと、 適応障害から気分障害や不安障害などへの展開が生じて、 結果的にひきこもりが本格化・長期化することは珍しくありません〟
不安障害 (社交不安障害、 全般性不安障害、 パニック障害など)
社交不安障害は、 人前で行動するなどの社会的活動に対する回避傾向が主症状の不安障害で、 同年代やなじみの少ない対象を回避し、ひきこもりへと向かう可能性が少なくありません〟
全般性不安障害は様々な場での不安が特徴的ですが、 特に失敗や挫折を恐れるあまりに緊張の強さが目立っ点に特徴があり、 ときに不登校やひきこもりの原因となります。
パニック障害の発作などの不安・恐怖状態が頻発するようになると、 その出現を恐れて外出を控えるようになり、 ひきこもり状態に至ることもあります。
気分障害
その大半はうつ病性障害で、 大うつ病エピソー ド、あるいはそれに準ずるうつ状態(気分変調性障害、 月経前不快気分障害、 小うつ病性障害など)の際にひきこもりを生じることがあります。
多くの場合に、一度ひきこもった当事者はうつ状態が改善したからといって、 ただちにひきこもりから抜け出すことができるわけではありません。
うつ病性障害の中でも気分変調性障害はひきこもりとの親和性がより高い障害とされています。
強迫性障害
強迫症状が強い場合に、 強迫症状に縛られて日常生活の習憤的行動をスムーズにこなせなくなったり、家族を巻き込んだ強迫症状に伴って退行が生じることで、母親との共生的な結びりきから離れられなくなったりする結果、ひきこもり状態となることがあります。
パーソナリティ障害
不登校やひきこもりに表現されるような回避性、 依存性、 自己愛性、境界性 (空虚感、孤立感、対象ヘのしがみつきと操作などが特徴) などの心性(メンタリティー、心理状態)が一年余りにわたって持続する間に、 そうした心性がパーソナリティ(性格)に構造化されてパーソナリティ障害ヘの展開が生じることがあります。
もちろん不登校・ ひきこもりが生じる前に、バーソナリティ障害が確立していき、 各パーソナリティ障害に固有なタイプの社会適応の困難さが深刻化し、社会的活動や関係性を回避するようになり、ひきこもりに至るという経過も多くみられることはいうまでもありません〟
統合失調症
統合失調症の陽性症状そのものである幻覚、妄想、自我障害などに基づく強い不安・恐怖から外出を控えたり、妄想に根ざした警戒心から家庭に閉じこもったりすることがあります〟
また陰性症状と呼ばれる意欲の低下に基づいて外出頻度が低下したり、人との交流を求めなくなったりするため、結果としてひきこもり状況に至る場合もあります〟
また統合失調症に基づく言動の影響で、周囲との人間関係が悪化し、周囲から距離を置かれるようになることに伴って外出困難になるという経過もあるでしょう。
対人恐怖的な妄想性障害 (醜形恐怖、 自己臭恐怖、自己視線恐怖) や選択性絨黙など児童思春期に特有な精神障害
自らの容貌が醜いため、 体臭が不快なため、あるいは視線がきついため他者を不快にさせているという思春期特有な確信を持つ妄想性障害の若者は、 他者との接触を極端に避けるようになることがあります。
また、選択性絨黙のような幼い頃から幼稚園や学校でロを閉ざしていた子どもが、やがて徐々に学校にいかなくなり家にひきこもる、あるいは高校卒業後は進路を決めないまま家庭にとどまるようになることがあります。
広汎性発達章害 (PDD)
広汎性発達障害、特にその高機能群 (アスぺルガー障害など) は思春期に入った小学校高学年から中学生にかけての年代で、同年代仲間集団から孤立したり、からかいやいじめの対象になったりすることが多く、 そのことを契機にひきこもることがあります。
いじめられた経験の頻繁なフラッシュ・バックとそれに伴うパニック的な興奮、社会ヘの関心の乏しさ、ゲームなどの活動ヘの没頭の生じやすさなどは社会から孤立した PDD の若者がひきこも りに向かう強力な推進力となっていると思われます。
注意欠如・多動性障害 (ADHD)
本来人懐っこく、親しい人間関係を求める気持ちの強いのが ADHD の子どもの特徴です。
しかし ADHD の主症状である不注意、多動性、衝動性のため、思春期年代に入る頃には仲間集団から孤立したり、学校生活で疎外されたりという状況に陥りやすくなります。
こうした状況が長期化すると二决的に気分障害を併存したり、 極端に反抗的になったりし、最終的には不登校・ひきこもりに至る可能性が高まります。
知的障害・学習障害など
知的障害者 (IQ70未満) が保護的で支持な環境や適切な能力応じた活動の機会を提供されなかった場合、 社会的活動の場を回避して家庭ヘのひきこもりを生じる可能性があります。
障害ではありませんが境界知能 (IQ70~84) の子どもや若者は社会的な評価や介入に非常に敏感で傷つきやすい面があり、不安な状況が続くと社会活動を回避し、ひきこもりに至る可能性の高いです。
ひきこもりの段階
ひきこもりには段階がある。
自分のひきこもり体験を振り返ってみると、その通りだなと思います。
「ひきこもり段階」で誰かが助けてくれたなら、早くひきこもりから脱出できたのになーと思ってしまいます。
準備段階
身休症状や精神症状や問題行動などの一般的症状が前景に立つ時期
顕在化した症状のケアなどを通じて子どもの心の訴えに耳を傾け対処すべき
開始段階
激しい葛藤の顕在化、家庭内暴力などの不安定さが目立つ時期
当事者には休養が、家族やその他の関係者には余裕が必要な時期であり、支援者が過度に支持しすぎないことが大切
ひきこもり段階
回避と退行が前景に出て、葛藤は刺激されなければ目立たない。
徐々にに回復していく場合もあるため、焦リに基づく対応は避ける。
しかし、何の変化もみられないまま長期化する兆候が見えたら、積極的な関与も考慮すべき時期
社会との再会段階
試行錯誤しながら外界 (多<は中間的・過渡的な場)との接触が生じ活動が始まる時期
子どもの変化に一喜一憂せずに安定した関わりを心がける〈家族が焦って登校刺激や外出刺激を行う傾向がある)
診断と支援方針に基づいたひきこもり分類
世間的でよく言われているひきこもりのイメージは第三群のことなのかなと思います。
私自身も精神科や薬物療法を経験したことはありません、
(親に行きたいと言ったら、猛烈に怒鳴れられたからです)
けれど、人によってはきちんと診断と処方をしてもらわないと、ひきこもりが治らないという人もいるのでしょう。
症状が重い人は専門家に診てもらいましょう。
第一群
統合失調症、気分障害、不安障害などを主診断とするひきこもり。
薬物療法などの生物学的治療が不可欠ないしはその有効性が期待される。
精神療法的アプロ一チや福祉的な生活・就労支援などの心理-社会的支援も同時に実施される。
第ニ群
広汎性発達障害や知的障害などの発達陣害を主診断とするひきこもり。
発達特性に応じた精神療法的アプロ一チや生活・就労支援が中心となる。
薬物療法は発達障害自体を対象とする場合と、ニ次障害を対象として行われる場合がある。
第三群
パ一ソナリティ障害(ないしその傾向) や身体表現性障害、同一性の問題などを主診断とするひきこもり。
精神擦法的アプロ一チや生活・就労支援が中心となるもので、薬物療法は付加的に行われる場合がある。
ひきこもりの支援の分類
支援の次元分類(ひきこもり本人と環境への支援)
ひきこもりの支援は、以下の3つの次元から考えられています。
第一の次元:背景にある精神障害 (発達障害とパ一ソナリティ障害も含む) に特異的な支援
第二の次元:家族を含むストレスの強い環境の修正や支援機関の掘り起こしなど環境的条件の改善
第三の次元:ひきこもりが意味する思春期の自立過程の挫折に対する支援
第三の次元(大人ニートにはなく、子どもニートに特有の領域)
私は子どもの頃(労働経験がない、思春期、学生)にひきこもりニートをした経験と、大人の頃(労働経験あり)にひきこもりニートをした経験があります。
子どもニート(ひきこもり)からの脱出は、難しかったなと思います。
以下のようにガイドラインには書かれています。
背景にある精神障害の治療と環境の修正などはひきこもり支援にとって避けては通れないところですが、 それらが成功しても当事者はなかなか動かないという ことをしばしぱ経験します。
このことは、思春期の自立過程の挫折というひきこもり体験がもたらす深い傷つきの克服のための作業が手付かずであることを意味しています。
思春期の自立過程とは思春期年代における親離れと自分探し・自分作りの過程の結果得られる自己の自律性と独立性の確立を意味しており、ひきこもりはその確立経過を押しとどめ、 停滞させます〟
その結果、退行が生じ、 家族内人間関係ヘのしがみつきと万能的な自己中心性が強まり、ひきこもりをまずます強固なものにしてしまいます。
背景の精神障害が改善しても、環境が修正されても、この悪循環を止めるのは容易ではありません。
これに支援の手を伸ばすことなしには、すなわち支援の第三の沈元に注目することなしには、一向にひきこもりが改善しないという事例は非常に多いといってよいでしょう。
振り返れば、思い当たるフシもあります。
ただ、自分探しがどうのこうのもありましたが、単純に若年期における数年は大きな影響があります。
すでに同世代の大半が年齢相応の社会経験を積んで沈の課題に向いあっている状況に、合流するためのハードルが高いんですよね。
経験も浅く、狭い価値観しかなく、想像力もないので、外が怖いですし。
年齢が周りと違って浮いてしまいますし。
子どもニートがひきこもりを克服をしようとするときには、難易度が高いです。
まとめ
私はひきこもりから社会復帰するときに、誰の助けも得ることができなかった人間です。
そんな人間が、ガイドラインを見ると、うらやましいと思います。
ひきこもりについて性格要因・環境要因・支援内容について、きちんと分類されて考えられています。
自分のひきこもりの特徴にあった支援を受けることができていたなら、簡単にひきこもり克服できたのにと思います。
少なとも、ひきこもり当事者・関係者の人は、どんなひきこもり状況なのか、どうすればひきこもりから脱出できるのかを考えて行動するのがオススメです。